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スマートフォンで米国勢に移った携帯業界の覇権

 スペイン・バルセロナで2月17日まで開催された世界最大の携帯電話関連展示会「Mobile World Congress(MWC)2011」は、米グーグルの巨大な影響力を強く印象に残して終幕した。展示会場には、グーグルの基本ソフト(OS)「Android(アンドロイド)」を搭載した数多くのスマートフォンが並んだ。従来型の携帯電話機(フィーチャーフォン)を展示していたのはNTTドコモと韓国LG電子の一部ブースくらい。メーン会場にグーグルが設営した巨大なアンドロイドブースは連日、多くの人でにぎわった。

 期間中、韓国サムスン電子の「GALAXY SII」、ソニー・エリクソンの「Xperia PLAY」、LG電子の3次元(3D)液晶を搭載した「Optimus 3D」、台湾HTCの交流サイト「フェイスブック」対応端末といった新製品が発表された。2008年9月に初の搭載機が発売されてから約2年半で、アンドロイドが業界地図を一変させてしまった感がある。

 もう1つ、今年のMWCで印象的だったのは、米国の通信会社の積極的な姿勢だ。10年12月に次世代携帯電話サービス「LTE」を始めた米携帯電話会社最大手のベライゾン・ワイヤレスは大規模なブースを構え、LTEで音声通話やビデオ通話をするVoLTE(Voice over LTE)のデモを実施した。米国2位のAT&Tも複数のソリューションを展示した。

 今年のMWCでは、世界の携帯電話業界で米国企業の影響力が高まっていることを強く感じた。

 フィーチャーフォンからスマートフォンという流れをつくったのは紛れもなく、「iPhone」を生んだ米アップルだ。その後、グーグルのアンドロイドがオープンなプラットフォームとして一気に普及した。

 こうなると端末メーカーにとっては、グーグルに接近して自分たちが望む仕様を次期バージョンに盛りこんでもらうことが重要になる。さらにグーグルの意向を素早く取り込んで、最新バージョンの端末を開発できる体制を整えることも求められる。

■携帯電話のパソコン化が背景に

 実際、ソニー・エリクソンは開発拠点があるスウェーデンのルンドにいた幹部をグーグルの本社があるシリコンバレーに駐在させるという動きを見せている。新機種のXperia PLAYを最初に投入するのもベライゾンだ。これまでシェアが低かった米国市場を攻める狙いがはっきりと見える。韓国勢のサムスン電子、LG電子が強い米国を攻略することが、世界を制するうえで欠かせないと判断したのだろう。

 数年前まで携帯電話業界で絶大な影響力を誇っていたノキア(フィンランド)は、MWC会場にブースを設置することもなく(昨年は会場外のホテルで記者会見を行っていた)、かつての勢いはもう見られない。そんなノキアに提携という手を差しのべたのが、米マイクロソフトだったというのも象徴的だ。

 携帯電話の主流がフィーチャーフォンからスマートフォンにシフトしていくなか、端末だけでは欧州を代表するノキアといえども衰退の道をたどるのは自然の流れかもしれない。携帯電話がパソコンに近づき、インターネットとの親和性が重視されるようになれば、おのずとOSやプラットフォームに強いアップルやグーグル、マイクロソフトといった米国勢が有利になる。

 スマートフォンの人気アプリも、ウェブメールの「Gmail」やミニブログの「ツイッター」、フェイスブックなどほとんどが米国製。すべてのサービスが米国勢に独占されかねないほどだ。もともとMWCは、ノキアやエリクソン(スウェーデン)といった欧州企業のための展示会だったが、数年後には米国で開催されてもおかしくないかもしれない。

■3DスマートフォンといえばLGに?

 そんななかでも、着実に存在感を高めていたのが韓国と台湾勢だ。

 製品の完成度の高さでは、サムスン電子のGALAXY SIIとタブレット端末の「GALAXY Tab10.1」が目を引いた。どちらも手に持つと「軽い、薄い」という驚きがある。所有欲をくすぐるモノづくりがうまくなりつつある。

 LG電子のOptimus 3Dも注目を集めた。カメラを2つ内蔵し、3D動画を簡単に撮影できる。シャープも同様のスマートフォンを開発中のようだが、見事に先を越された。LGは動画サイト「YouTube」で3D動画コンテンツを共有できる仕組みも整えている。「3DスマートフォンといえばLG」というイメージが世界に定着する前に、シャープも手を打ちたいところだろう。

 HTCはフェイスブック連携のスマートフォンを発表したが、それ以上に注目されるのが独自のサービス展開だ。これまでもスマートフォン向けに「HTCセンスドットコム」と呼ぶオンラインサービスを提供してきたが、MWCで発表したタブレット端末「HTC Flyer」向けには、動画コンテンツの配信とクラウド経由のゲームサービスを用意した。

■影薄い日本勢だが、技術力には評価

 タブレット端末はいまのところ、画面サイズや重さ、薄さで差を付ける程度しか競争の手立てがなく、パソコンと同じく独自性を出しにくい商品と言われる。この市場でコンテンツサービスという付加価値を提供する動きは、他のメーカーにも広がっていくだろう。

 中国メーカーの華為技術(ファーウェイ)とZTEは、端末よりも基地局など通信機器の売り込みに力を入れていた。特にファーウェイは商談用に巨大なホールを確保しただけでなく、ファーウェイのロゴマークをつけた接待用の高級車をバルセロナ市街で何十台も走らせていた。ファーウェイは通信機器で着実に世界に足場を築いている。

 翻って日本勢は、昨年まで出展していたパナソニックが一時撤退し、NECはネットワーク技術やクラウドを中心に売り込んでいた。そのなかでは、富士通が本格的なブースを初めて出したのが目についた。

 正直なところ、日本勢の存在感は韓国や台湾、中国勢に比べるとかなり薄い。しかし、アンドロイドが普及し、同じプラットフォームでの競争になれば、日本メーカーの技術力が評価される時期が必ずくる。富士通東芝モバイルコミュニケーションズの防水スマートフォン「レグザフォン」を筆頭に、日本メーカーが得意とする薄型化や耐衝撃性などの技術は海外の携帯電話会社からも高く評価されているという。

■これから1~2年が最後のチャンス

 かつてノキアはメーカーとして絶大な力を持ち、自社で販売網を拡大しつつ端末は携帯電話会社を自由に選べるSIMロックフリーにして、どこででも使える環境を作り上げた。それは、ノキアが頂点にあり、各国の携帯電話会社がその下に位置するという関係だった。

 しかし最近は、メーカーがSIMロックをかけた端末を携帯電話会社に納入し、販売奨励金分を差し引いた手ごろな価格で売るという以前の日本式販売手法も増え始めている。サムスン電子やLG電子、ソニー・エリクソンや米モトローラが強いのは、ユーザーに向いた商品開発とプロモーション展開をしつつ、携帯電話会社の意向もしっかり聞いたモノづくりをしている点にある。

 それは日本メーカーの得意中の得意でもあるはずだ。あとは、米国なら「199ドル」という他社製スマートフォン並みの当初価格まで製造コストを抑え、ブランド認知度をいかに高めるかが勝負となる。

 出遅れ感は否めないが、米国でLTEが始まったこれから1~2年は巻き返しのまたとないチャンスである。ここで失敗したら後はない。日本メーカーにとってアンドロイド搭載スマートフォンは世界展開の最後の一手といえそうだ。
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