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米アップル社の凄い調達

今年の初めに日経新聞に衝撃的な記事が掲載されていました。

それによると、
「アップルが2010年に購入した半導体は120億ドルで世界3位の見込み。2011年には韓国サムスン電子を抜いて、米ヒューレット・パッカード(HP)に次ぐ2位となる見通しだ。」であり
「低消費電力プロセッサー「A4」のようにアップルは本体の仕様が世界共通なため、部品メーカー1社からの調達量は桁違いに大きくなる。」とのことです。
つまり極めて1品目、1SKUの調達数量が大きくなっているのです。
このような前提の元に、「発注量が1桁、2桁多いのに値切らない」どころか、
他社よりむしろ高く買うことで安定供給を保証してもらうのだそうです。

これが本当の話であれば凄いことだな、と思っていましたが、2月16日付けの日経産業新聞を読んで改めて驚かされました。
「アップル、取引先監査報告、3施設から調達中止、規範違反は37拠点。」
という記事です。

内容は「2月14日にアップルが取引先監査報告書を公開し、37拠点でCSR違反のような規範違反があることが判明した。彼らは中国を中心とした全世界の 127施設を対象に調査を行った。この調査は昨年6月、ティム・クック最高執行責任者(COO)らを中国に派遣し、独立した第三者の調査チームが取引先の従業員1000人以上を対象にメンタルヘルスや労働環境などの聞き取り調査を実施した」
という内容です。

この調査の凄いところは、徹底力です。
COOが取引先に乗り込み、単なる書面でのアンケート調査に終わらず、1000人以上の取引先の従業員の調査を第三者の調査チームを雇って(?)行っていることです。。
いくらかけているのでしょうか?
年初の記事についても2月の記事についても共通するのは、調達力の強さを武器にした戦略です。

例えば「発注量が1桁、2桁多いのに値切らない、むしろ高く買う」というのは、自分が買っている部品がいくらであるべきなのか分かるからできるのです。また安定供給の確保についてもそれを支える情報インフラなどのプラットフォームが整備されているから可能となります。

日本の会社がよく言う「きめ細かな対応力(供給力)を持ったサプライヤとの取引」だけではないのです。

また2月の記事に関してもそうです。これだけ大規模な調査ができるのは、それだけサプライヤに対する影響力があるからです。それでなければこれだけ大規模な監査に協力してもらえないでしょう。
これも同様に多くの日本企業の課題と言えます。

しかし、今回私が感心させられたのはそういう表面的なことではありません。
実はその裏にある経営戦略そのものなのです。アップルの強みは言うまでもなく、その企業ブランド力と製品企画力戦略にあります。
しかし、通常であれば、製品企画・開発力に強みがある企業は総じて、製品開発チームに力があり、その後コスト削減やサプライチェーン最適化の追求が追随していくという傾向があります。

しかし、アップルの場合はヒットする製品開発力と徹底した原価企画、戦略部品の共通化、サプライチェーン最適化が共存しているのです。
これは結果的にそうなったのではなく、意図的に実現しているものです。
つまり企業の経営戦略そのものがこのような企業全体の最適化を実現していると言えます。

今回の記事を読み私はそれを再認識しました。
取引先に対するCSR監査は企業の風評リスクをマネジメントするために今後益々重要視されていきます。つまりアップルは彼らのブランド力を強化する(劣化させない)ために大きなお金をかけてわざわざ1000人を対象にした監査をやっているのです。

これはブランドマネジメント、製品戦略、調達を含むサプライチェーンマネジメントの同期化であり、最適化です。
記事の裏側にどのような事実が存在するのか、わかりませんが、もしこれが事実だとすれば、調達機能が事業モデルのイノベートをリードしているとも言えるでしょう。
まさにイノベーション型調達モデルを実現している米アップル社の凄さです。
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